捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
 

「……気持ちいいです。あったかい」

「……はい」

「こんなに嬉しい気持ちなんですね。好きな人に触れるのって。癖になりますね」

「!……え、えと……そう、ですね」

「……もっと触れてもいいですか?」

「えっ!?」

「琴音さんはもっと俺に触れたいと思ってくれないんですか?」

「っ!」


……そ、そりゃ、触れたい……ですけどももも……。

そんな自分の欲と、熱っぽい目で見てくる惣介さんに負けそうになってしまう。

でも……もうこんなに明るいし、やっぱり恥ずかしい……。


「そ、惣介さん?」

「……はい」

「……ほ、ほら、今日もいい天気ですよ!だからそろそろ起きましょう!ねっ!」

「……嫌です。今日はまだ琴音さんの熱を感じていたいから離しません」

「!」


誤魔化しに走ってしまった私の言葉に、惣介さんは唇をむぅと尖らせて、拗ねたような表情で言葉を発する。

そして、私の身体をさらに引き寄せてぎゅうっと抱き締めてきた。

“~しません”と言う時の惣介さんは自分を通す決意をしている時で、私が何を言っても聞いてくれない。

それは、私のことを思ってくれているからの行動と台詞。

そう気付けば嬉しくなって、周りの明るさとか恥ずかしさとかどうでも良くなって、ほっこりと温かい気持ちになった。

まぁいっか、と私は惣介さんの胸に頬を寄せる。

とくん、とくん、と鼓動が聞こえる。

幸せの音だ。

 
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