ロフトの上の冷たい毒 星のない漆黒の空の下
「よしみ、今度は下になって…
俺がするから」
暗闇が支配する小さな箱のような部屋。男の切なげな声が響く。
それは、さほどややこしいパズルではなかった。
達也の身体の下で、従順にしながら、私は、頭の中でピースを組み立てて行く。
ひとつひとつが自我を持ったそれらは、私の指が触れなくても、風に舞うかのように、次々に合わさってゆく。
「ああ……やめて…」
無意識のうちに私の口から言葉が漏れ、それを別の意味に取った達也は、
「ダメだよ…我慢しないで」
と言って口元を緩め、徐々に速度を早める。
波はそこまで来ている。
いつもなら、ここで私は達也に全てを委ね、自分を失うところなのに。
私の身体は飛び立たない。
喘ぎ声だけが、闇の支配する狭い部屋の中で虚しく浮遊する。
その『飲み会』の次の日は、土曜だった。
私はアパートの部屋で達也が来るのを待っていた。
いつもなら、朝9時くらいにお気に入りのベーカリーで買い求めた焼き立てのバケットを手に、訪ねてくるのに。