【完】恋の太陽、愛の月
太陽はふっと笑った。
そして遠くを見つめながら「半分正解」と吐き捨てた。
「・・・僕は全部親のいいなりなんだよ。転校も、友達も、恋愛も全て親が選ぶこと」
「なんだよそれ。お前の両親見たことあるけど、そんな風には・・・」
「それは咲夜が僕の親の表しか知らないからだよ。僕が転校した理由は確かに父親の転勤。でも、そんなのただの言い訳。本当は僕を咲夜とひなから離れさせたかっただけなんだ。学校も私立、友達は朝比奈財閥と同じ地位の家の子供、彼女なんて選ばせてなんかくれるわけない。朝比奈財閥にとって価値のある女の子としかね」
太陽の家は確かに俺らと違ってお金持ちの部類に入っていた。
一応俺達三人は保育園時代からの幼馴染。
家も近くで自然と仲良くなって、そしてずっと一緒にいた。
俺は自分の親から「太陽君は大きな会社の家の子だから仲間はずれにしては駄目」ともよく聞かされて育っていた。
だから太陽を仲間に入れてたわけじゃない。
俺とひなたは純粋に太陽自身が好きで一緒にいただけだ。
大人はすぐに地位とかを気にする。
そんな大人には絶対にならないと俺は自分に言い聞かせて育ってきた。
まだ小学生だった俺らはいきなりの別れに戸惑った。
ずっと一緒にいた太陽がいなくなってぽっかり穴が開いてしまうような、そんな恐怖感を襲った。
でも一番怖かったのはきっと・・・。
「僕の事を僕自身として見てくれる子なんて東京にはいなかった。今もいないよ?・・・上辺だけの友達ばかり。でもこれでいいんだってずっと言い聞かせてきたんだ。本当はひなだけじゃなくて咲夜とも連絡を途絶えさせるつもりだったんだけど、どうしてもできなかった」
寂しく笑う太陽。
いつもメールや電話では「友達たくさんできた!」と笑いながら言っていた。
すごく楽しそうで嬉しそうで、それに裏があるなんて思いもしなかった。
「僕ね。今婚約者がいるんだ」
「・・・婚約者!?」
「そう。まだ中学生なのにね笑。相手の女の子は相当僕を気に入ってくれてて、僕が高校を出たら即結婚とまで親が話しあってる」
「そうなのか。・・・それで、ひなたとはどうしたいんだよ」