【完】恋の太陽、愛の月
私は思わずペアストラップを衝動的に買ってしまった。
これを私が先生に渡す事は一生ないだろう。
ぎゅっと今さっき買ったペアストラップを握りしめ、それをバックに突っ込んだ。
「買った?」
「う、うん。買ったよ」
「そっか♪私も太陽君と何かお揃い買おうかなって思ったんだけど、さっき楓ちゃんが買ったやつ以外ぱっとしなくてさ!買わなかった」
「そうなの?」
「でもすごく太陽君に似合いそうなブレスレット発見したから買っちゃった!」
「あ・・・そ、そうなんだ」
「ん?どうかした?」
私はふるふると頭を横に振った。
ひなたさんは「そう?」と言って、今度は外にあるポップコーンを買ってくるから待っててと言って行ってしまった。
・・・さっき朝比奈太陽のことを話していたひなたさんの表情は、すごく穏やかだった。
本当に好きなんだと思える顔。
大好きな人を思い出して少し微笑んでいるあの顔。
どうして、その大好きな人が先生じゃないんだろう。
「おまたせ楓ちゃん!キャラメルポップコーンとメロンソーダポップコーンどっちがいい?」
「メ、メロンソーダ!?」
「珍しいから買ってみたの!」
「キャラメルで・・・」
「じゃあ私がメロンソーダの方だね♪あ、一口ずつ交換してみない?」
帰ってきたひなたさんは、さっそく私にポップコーンをくれた。
お互いポップコーンを一口ずつ交換して「美味しい」とか「まずい」とかの口論も始まった。
私を見てにこにこ笑うひなたさん。
この人は誰からも好かれる天才なのだと、気付いた。