ヒールの折れたシンデレラ
「千鶴?」

思わず考え込んでしまっていたようで心配した宗治が見つめてくる。

「どうした?酔った?」

宗治の大きな手が千鶴の頬に触れる。

「大丈夫。あんまりおいしかったからぼーっとしちゃっただけ」

「そっか大将も喜ぶよ」

そんな会話をしていると、カウンターからメロンが差し出された。

綺麗にカットされたメロンを口に運ぶ。冷たい感覚が口の中に広がる。

さっきまでは鋭かった味覚が、暗い思考に影響されてしまったのか口の中のメロンは何の味もしなかった。

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