ヒールの折れたシンデレラ
「確かに気分のいいものじゃないな……」

宗治のその言葉に千鶴は目をぎゅっとつむる。

「でも君は見事にその条件をクリアしたんだ。だからこの絵は君のものだよ」

宗治の言っている意味が分からない千鶴は尋ねた。

「常務ご結婚なさるのですか?」

「あぁ、そのつもり。プロポーズはまだだけど絶対OKさせるから問題ない」

いつの間にそんな話があったのだろうか?秘書課の誰かだろうか……それとも新しい候補が現れたのだろうか?千鶴の知らないところで宗治の結婚の話が出ていたなんて。

ぐっと奥歯をかみしめて、涙を止めようとする。手をぎゅっと握る。

(こんな話わざわざ聞きたくなかった。これが宗治さんのけじめなの?)

「悲痛な面持ちで何かよくないことを考えてるみたいだけど?」

そういいながら千鶴の眉間に寄ったしわをデコピンではじいた。

「っう……」

あふれそうだった涙が引っ込む。宗治を見ると笑顔で千鶴を見ていた。
< 193 / 217 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop