ヒールの折れたシンデレラ
「いろいろ悩んでるみたいだけど着いたから」

そこはいつも見慣れていた葉山本社の駐車場だった。

「そ、常務!私出勤できる服装じゃないですし、それに無断欠勤……」

「大丈夫それについては全部有給扱いしてあるから。千鶴、有給ためすぎだぞ。ちゃんと休まないと」

「すみませ……じゃなくて」

エレベーターに乗せられて押された行先は二十階。

「常務、もしかして会長に?」

「あぁ、早く連れて来いって」

何でもないことのように言う宗治と対照的に千鶴の顔はだんだん青ざめていく。

会長のことだ。宗治との仲について反対されるだろう。

そんな千鶴はエレベーターから降りるとき足が動かなくなっていた。

引きずるようにして会長室に連れて来れられる。

「ばぁちゃん。連れてきた」

押されるようにして会長室に放り込まれた千鶴。

「し、失礼します」

体を折り畳み、自分の履いているデニムを目にしてせめて恰好だけでもまともな姿でこの場に臨みたかったと思う。
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