ヒールの折れたシンデレラ
「あの……どういう」

「驚くのも無理はないわね。ちゃんとお話するから座りなさい」

そういってソファを促され、腰掛けると当然のように宗治が密着して隣に腰を下ろした。

それを見て和子は「あら、あら」なんて言っている。

「私、あなたのお父様のこと好きだったの」

「え?」

和子の唐突もない発言に驚きをかくせない。

「あぁ、言い方が悪かったわね。あなたのお父様とお母様が好きだったのよ」

「母のことも知ってるんですか?」

話を聞くと、千鶴の父の絵が葉山のデパートでも取り扱われるようになったころそれを気に入った和子が何点か絵を購入したらしい。

そのお礼に千鶴の両親がそろって挨拶に和子を訪ねたことから交流があったそうだ。

「そのころ私は自分の息子の結婚が、あまりうまくいっていないことに心を病んでいてね……。あなたのお父さんとお母さんをみてるとうらやましくて仕方なかった。息子にもこういう家庭をもってほしかったと。あなたが今日までいたアトリエと同じ敷地にある別荘誰の所有だか知ってる?」

「え、あの……」

頭が宗治のことでいっぱいでそこまで頭が回っていなかった。

「あれは私のなの。最近はあまり使用していませんけどね。そしてあのアトリエを提供したのも私」

「そうだったんですか……」

千鶴が必死で宗治から逃げたつもりだったのに、逃げた先が葉山の敷地の一部だったなんてマヌケすぎる。
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