ヒールの折れたシンデレラ
「……ん……っ、は……」

千鶴の声にもならない声が寝室に響き渡る。

シャワーを浴びることも許されず寝室に連れてこられた千鶴は、宗治の手でトロトロにふやけさせられている最中だ。

「十日もかくれんぼしていた罰だから、今日は俺の好きにさせてもらう」

嬉しいような、恐ろしいような発言の通りに宗治は千鶴の体中の“気持ちいいところ”を大きな手のひらと熱い唇で味わっている。

何度目かももう数えられない口づけをかわす。

お互いの唇が触れるか触れないかの距離で、見つめ合う。

千鶴は宗治の額にかかる黒髪をそっとかきわけて、左の目元にあるほくろにそっと触れた。

身も心も将来も一つになったふたりは、お互いを溶かしあいまじりあうようにして新しい朝を迎えた。

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