ノーチェ


挙式はひっそりと親族だけで行われたのだが

菜月が『莉伊にはどうしても来て欲しい』と言ってくれて、二人の式に参加した。


こんなに親しい友人の結婚式に来るのは初めてだったけど

目の前で愛を誓い合う姿を見ると、やっぱり胸が熱くなった。



何よりも、菜月の幸せそうな笑顔があたしの心に刻まれて

二人の幸せを、願わずにはいられない。



…結婚って、いいな。

初めてそう思った。




菜月の両親に小さく会釈を返して、あたしはゆっくり辺りを見渡す。


「薫なら来てないよ。」

まるであたしの心を読んだように降ってきた声。



「啓介くん…。」

振り返ると、すっかり頼もしい表情になった啓介くんが笑ってあたしを見ていた。



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