Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 9月にしていた文化祭では、あまり準備の時間を確保できず適当なものばかりだった気がするが、こうやって夏休み中だと十分な時間で準備ができるので、生徒たちもはりきっている。

 迷路の所々に驚かす仕掛けも作っているらしかったが、他の生徒にバラすかもしれないから…と、どんな仕掛けがあるのかは教えてもらえなかった。


 子どもの頃、近所の子ども達や同級生たちは実家の山寺の墓地を怖がっていたが、小さいころからそこが遊び場だったみのりは、怖くもなんともなかった。
 しかし、遊園地のお化け屋敷は、なぜか怖くてたまらなかった。目に見えないものよりも、暗いところで人工的に驚かされるのが嫌だったのだと思う。

 多分それは、今も変わっていない。
 みのりは、この迷路が完成しても、絶対に足を踏み入れようとは思わなかった。文化祭が始まったなら、この自分が副担任をするクラスには近づかないと、心に決めていた。


 文化祭の1日目の午前中は、体育館でステージ発表を鑑賞する。
 合唱部、演劇部、吹奏楽部、それに筝曲部などが発表するのだけれど、体育館は何しろエアコンがなく、その上1000人以上の人間がここに集まっているのだから、その暑さは尋常じゃない。


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