Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 だが、先ほどの質問がそのままになっていたことを、宇佐美は許さなかった。


「先生!さっきの話、終わってないんですけど。ひと夏の経験。」


 みのりは、『何の話か…?』という顔で、宇佐美を見返す。
 みのりの視線がこちらに向いていると分かっているので、遼太郎は目を逸らして、心の中で宇佐美をなじった。


――このやろう…!蒸し返すなよ!


 でも、今度のみのりは動揺しなかった。


「ひと夏の経験って、そんな暇あるわけないじゃない。土日以外で、3日しか休みが取れなかったんだから!」

「えっ!?夏休み、たったの3日?」

「そうよ。ずーっと仕事してたんだから。」


 その仕事の大部分は、自分の個別指導が占めているのだろうと、遼太郎は申し訳ない気持ちになった。


「でも、その3日間は何したの?」


と、平野の方も興味を示す。


「何でそんなこと知りたいの?」


 みのりが怪訝な顔で平野を見たので、遼太郎はまたサッと視線を逸らした。


「だってー、先生が学校にいない時にどんなことしてるか、知りたいんだもん。」


 生徒にとって、先生のプライベートは興味の対象のようだ。



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