Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
ふん、と鼻で息を吐いて、みのりは答えた。
「その3日間は実家に里帰りよ。帰ったら、親がうるさいからあんまり帰りたくないんだけどね……。」
「何で、うるさいの?先生、大人なのに、まだ親からいろいろ言われるの?」
かわいい質問に、『まだ子どもなんだなぁ……』と、みのりは笑いをこらえた。
「帰ったら、お見合い写真が五人分も用意されてたんだから。うんざりもするでしょう?」
おおーーーーーーーっ!!
「お見合い写真」という言葉に、クラス中がどよめいた。
生徒たちの反応のツボが、みのりにはいま一つ理解できない。
「先生、いい人いた?」
「お見合いしたの?」
と、生徒たちの目が希望に輝いている。
生徒たちにまで心配かけているのだろうか。それとも、単に人の縁談に興味があるだけだろうか、とみのりは複雑になった。
「いい人もいなかったし、お見合いもしてない。だってまだ、お見合いなんてしなくたって大丈夫だもん。」
まだ恋愛結婚が可能だと言わんばかりの、みのりの言い方に、生徒たちは否定もできず、かと言って無責任に肯定もできず、黙り込んでしまう。それほど、アラサーにとって結婚の話題は、むやみに触れられない微妙な問題だった。
沈黙が漂ったところで、主導権はみのりに移り、すべからく演習問題が開始された。