Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 ふん、と鼻で息を吐いて、みのりは答えた。


「その3日間は実家に里帰りよ。帰ったら、親がうるさいからあんまり帰りたくないんだけどね……。」

「何で、うるさいの?先生、大人なのに、まだ親からいろいろ言われるの?」


 かわいい質問に、『まだ子どもなんだなぁ……』と、みのりは笑いをこらえた。

「帰ったら、お見合い写真が五人分も用意されてたんだから。うんざりもするでしょう?」


 おおーーーーーーーっ!!


 「お見合い写真」という言葉に、クラス中がどよめいた。

 生徒たちの反応のツボが、みのりにはいま一つ理解できない。


「先生、いい人いた?」

「お見合いしたの?」


と、生徒たちの目が希望に輝いている。

 生徒たちにまで心配かけているのだろうか。それとも、単に人の縁談に興味があるだけだろうか、とみのりは複雑になった。


「いい人もいなかったし、お見合いもしてない。だってまだ、お見合いなんてしなくたって大丈夫だもん。」


 まだ恋愛結婚が可能だと言わんばかりの、みのりの言い方に、生徒たちは否定もできず、かと言って無責任に肯定もできず、黙り込んでしまう。それほど、アラサーにとって結婚の話題は、むやみに触れられない微妙な問題だった。


 沈黙が漂ったところで、主導権はみのりに移り、すべからく演習問題が開始された。



< 144 / 743 >

この作品をシェア

pagetop