Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
みのりにより、てきぱきと問題の解法の要点が指摘され、演習問題が進められていく。
黒板に向かい板書をするみのりを見つめている遼太郎。その中には、なぜか少しホッとした心もちと、言いようのないもどかしさとが入り混じっていた。
そして、みのりが振り向くと、遼太郎はプリントに目を移し、問題に取り組んだ。
授業の終わりの礼が済むと、生徒たちはぞろぞろとみのりのところへ、夏休みの課題を提出しに向かった。
だいたい課題が集まり終わると、みのりはそれを教卓の上でトントンとまとめ、脇に抱えて教室を後にする。
遼太郎は、夏休みの課題を握りしめ、みのりの後を追った。
「先生。」
階段への角を曲がるところで、勇気を出して声をかけると、みのりが振り返った。
開かれた窓から入ってきた風が、振り返った刹那にみのりの髪を乱した。みのりは返事をする代わりに、目を細めて髪を耳にかけなおす。
遼太郎はごくりと唾を飲み込み、
「……これ。」
と、課題を差し出す。
すると、みのりは優しく微笑んで、チョークで白くなっている手を出した。