Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 その課題を手渡す時、


「先生、すいませんでした…。」


と、遼太郎は深々と頭を下げた。

 顔を上げると、みのりはちょっと面食らったような表情を浮かべている。


「大丈夫、気にしてないって、メールに書いたでしょ?」


 そう言われても、遼太郎は無言で唇をかんだ。


「……でも、こうやって謝らないと狩野くんの気が済まなかったのよね?」


 みのりがフフッ…と柔らかく笑うと、遼太郎はこくんと頷いた。


「本当に大丈夫よ。なんとも思ってないから、気にしないでね。」


 あまりにもサラッとみのりがそう言うので、遼太郎は今一つその言葉の信ぴょう性を疑っているようだ。


「大体、私があのくらいのことであんな反応しちゃうから、狩野くんも罪悪感を感じないといけなくなるわけだし……。ホント、そんなに気にすることないのに。」


 遼太郎の心の負担が少しでも軽くなるように、みのりは違う考え方を提案した。


「あのくらいのこと……なんですか?」


 遼太郎が暗に何のことを言っているのか察して、みのりは心がざわめいてくる。
 意識すると先ほどの二の舞になるので、努めて意識しないように、みのりは歯を食いしばった。




< 146 / 743 >

この作品をシェア

pagetop