Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
みのりが言葉を返せないので、遼太郎はついに心の中の不安を吐露した。
「先生……、俺のこと、変態だって思ってないですか…?」
「は………!?」
沈黙が二人の間を流れていく。
そして、突然みのりが吹き出した。課題プリントの束に顔を当てて、大笑いに発展するのをかろうじて堪えている。
「……思ってるわけないじゃん!そんなこと!」
言葉を出してしまうと、堰を切ったように、アハハハハ…とお腹から笑いが湧き、目尻からは涙まで出てきた。
「大丈夫よ、狩野くん。私をいくつだと思ってるの?いろいろ経験してるんだから、あれくらい猫に引っかかれたみたいなものよ。」
ようやく笑いを収めて、みのりはそう言った。
遼太郎の心の不安を、もっと軽くし、取り除いてあげたかった。
しかし、遼太郎は別の部分に反応する。
「……いろいろ経験……?猫に……?」
遼太郎は言葉の意味を考えて、途端に顔を真っ赤にした。
胸を触られることを、猫に引っかかれるくらいと言えるそれ以上の〝経験〟について、思いを巡らせてるらしい。
「何を想像しているの?青少年!」
みのりは手をピストルの形にして腕を伸ばし、遼太郎の鼻先を撃つ仕草をしてみせた。そして、笑いを含んだ顔で視線を残しながら、背を向け階段を降りていった。