Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
途中で何度か、二俣や宇佐美のすがるような目とぶつかった。多分〝お手上げ…〟と言ったところなのだろう。
――頑張りなさいよ!
という念を送って、みのりは見つめ返す。
遼太郎は、廊下側の一番後ろの席で顔を上げる余裕もなく、問題に取り組んでいる。きっと問題をちゃんと解けている証拠だった。
遼太郎はみのりの期待の通り、迷った問題はあったが、全く分からないという問題はなく、見直しをしてもあと10分弱の時間の余裕があるほどだった。
そこで、ようやく遼太郎は監督をするみのりの方をチラッと見た。みのりは教室の真ん中程を歩いている。
その時、遼太郎の前の机に座る小野という生徒が消しゴムを落とし、遼太郎の左手へと転がっていった。
試験中なので立ち上がるわけにもいかず、遼太郎が消しゴムを見つめていると、みのりがかすかな気配を察して、消しゴムに気が付いた。
みのりが消しゴムに近づき、身をかがめて手を伸ばす。
みのりのブラウスの大きく開いた襟元から、下着のレースの向こうに、胸の丸みまで確認できるほどの深い谷間が、くっきりと見えた。
ほんの一瞬のことだったが、その光景は遼太郎の網膜に焼きついた。