Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 もうもうと砂煙の上がる中、騎馬の正面になって駆け回る二俣の姿が見えた。

 いつもは仁王立ちする熊や突進する猛牛を連想するみのりだが、この二俣の姿は、鬼気迫る形相といい隆起する筋肉といい、


――うーん。まるで、東大寺南大門の金剛力士像だな!


 みのりは、日本史の資料集の写真を思い出して、思わず笑いを漏らした。

 二俣の姿が確認できたので、遼太郎や衛藤、その他知っている男の子たちを探したのだが、群衆の中に紛れていて、結局見つけられずに3回戦とも終わってしまった。


 その騎馬戦の余韻も冷めやらぬ時、


「仲松先生!ちょっと、こっち手伝って!」


と、お呼びがかかった。

 騎馬戦の後なので、負傷者がいるのであろう。みのりは救護係のテントへと、急いで向かった。


 擦り剥いた傷がほとんどで、きれいに洗って消毒をして、絆創膏を張ってやる。みのりがせっせと働いていると、養護教諭から声をかけられた。


「仲松先生。こっちへ来てくれます?」

「はい。」



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