Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 養護教諭のところへ行ってみると、パイプ椅子に座る上半身裸の男子生徒の目じりの上を、タオルで押さえている。


「ちょっとこの子のここの血が止まるまで、押さえててもらえます?私、あっちの熱中症の子の様子を見てきますから。」

「はい。」


と、タオルの位置は変えずに、そのまま養護教諭と入れ替わった。


「血が止まったら、このテープを貼ってあげて。」

「あっ…、はい。」


 みのりは右手でタオルを押さえ、左手を後頭部に添えた体勢で、振り返って返事をした。


 それから男子生徒に向き直って、「大丈夫?」と声をかけようとしたところ、


「……あら?狩野くん!」


と、初めて負傷した男子生徒が遼太郎だと気が付いた。

 遼太郎はきまり悪そうに、目配せしてあいさつの代わりにする。


「どうしたの?大丈夫?傷、ちょっと見てみてもいい?」


 みのりはタオルを外して、遼太郎の傷を確認する。
 眉尻のところがぱっくりと裂けてしまっており、まだ血が流れ出していた。急いでタオルを元に戻したが、傷を見てしまったみのりは真っ青になり、めまいを感じてよろけてしまった。


「先生の方が、大丈夫ですか?」


 遼太郎がフッと笑う。



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