Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
澄子は黙って、みのりの話を聞いた。
でも、みのりの一方通行ではない。石原の方も、みのりに強く執着している。石原もみのりを求めなければ、みのりの想いがこんなにも強くなることはなかっただろう。
3年前みのりが講師だったころのことを、澄子は思い出していた。
みのりは芳野高校の講師の任命期間が終わったとき、次の赴任先が決まっていなかった。
どこかの高校に日本史の講師の空きはないか…。ずっと学校に残って、各高校の教員組合の人間に片っ端から電話をかけていた石原の懸命な姿。
みのりの知らないところで、みのりのために、愛しいと思えばこそやっていたことだと、今になって澄子は気が付いた。
奥さんの存在が影を落とすことは、初めから二人には分かっていたはずだ。けれども、石原もみのりも理屈で処理するには追い付けないほど、好きになる気持ちは止められず、関係は深まっていった。
初めは、そのうちどちらかの気持ちが冷めて終わる…くらいに思っていたところもある。しかし、冷めるどころか愛情は深まり、情熱は高まるばかりで、このままいけば隠しきれずに、世間に知れてしまうのも時間の問題だっただろう。
世間に露見すれば、教員という立場柄、石原もみのりもただではすまなくなる。