Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
夕飯の片づけが済んだ頃、みのりの携帯電話が鳴り響き、みのりはビクッと体をすくめた。
今度はメールではなく、電話の着信だ。石原からの着信だということは表示で分かる。長く鳴り響く間、みのりは澄子と顔を見合わせて、腕組みし、電話に出る衝動に耐えた。
ようやく着信音が鳴り終った時、澄子が、
「心臓に悪いから、電源を切っておいた方がいいと思う。」
と、みのりの携帯電話の電源ボタンを長押しした。
みのりは部屋の隅で膝を抱え、黙り込んだ。時が過ぎゆくのに耐えながら、まだ石原と付き合う前のことを思い出していた。
石原と二人で週番をすることになったことがある。暗い校舎の中を懐中電灯を持ち、二手に分かれて巡回することになった。
石原は不気味な特別教室棟へ行き、みのりは一般教室棟の方を見回った。
暗い教室の中に入って、戸締りを確認していると、向かいの校舎で何か光っているのに気が付いた。
一定に点滅する光――。
すぐに石原が故意に発しているものだと分かり、5回ずつ点滅を繰り返すのを、ドキドキしながらみのりの方も真似て返した。
胸が高鳴って、その時石原への気持ちを自覚した。
「……初めから、好きになっちゃいけない人だったのよね。でも、私バカだったから、好きな気持ちに勝るものはない……って思ってたの。周りが見えてなかったのよね……。」