Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「狩野くん。おめでとう。法南大学の指定校推薦、狩野くんが選定されたよ。」
遼太郎は沈黙したまま、目を見開いた。そしてようやく、
「……本当ですか?」
と、確認した。澄子は小さく笑いを漏らす。
「本当よ。渡す書類があるから、進路指導室まで来てくれる?何なら、進路指導主任の先生にも訊いてみたら?」
進路指導室に行き、入試要項や願書等を受けとると、ようやく遼太郎にも選定された実感が湧いてきた。
進路指導主任曰く、やはり最後の考査が決め手になったようだ。
「みのりさん……仲松先生に感謝しなきゃね。」
澄子がそう言ったので、遼太郎は「はい」と頷いた。澄子に言われるまでもなく、遼太郎はみのりに感謝していた。
……感謝だけでは足りずに、恋までしてしまった。
「仲松さんと言えば、今日の仲松さんには驚いたなぁ~。あんなに美人だったかな~。まるで高級クラブのホステスみたいだったね~。」
進路指導主任の下世話な例えに、遼太郎は表情を硬くし、澄子は苦笑いをした。