Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 これから遼太郎がどう動くのか、みのりは見守るというより目が離せなかった。


 遼太郎は、スクラムのすぐ近くにいる9番スクラムハーフの選手に視線を投げかけ、他のバックス陣にも合図の一声をかけ、スクラムからボールが出されるのを待っている。

 敵陣のゴールラインまで、あと15mといったところだから、スクラムで順当にボールを獲得できれば芳野高校が追加点を挙げるチャンスだ。

 これからどう展開されるのか、遼太郎はどんな戦略を考えているのか。遼太郎がスタンドオフでなかったら、スタンドオフがどんな仕事をするポジションか知らなかったら、みのりはこんなにドキドキすることもなかっただろう。


 ボールはすぐに、芳野高校側の後方へ出される。


――うん、衛藤くん!よくやった!!


 みのりは、思わず心の中で叫んでいた。

 出されたボールを、スクラムハーフがさっと抱え、ここはとりあえず遼太郎に素早くパスを回す。相手側のスタンドオフが遼太郎の動きを止めようと向かってくる。

 遼太郎はそれを避けるように走り、二人がかりでタックルに来られたところを、倒される前に左センターへつなぐと見せかけて、カットインしてきた2年生のウイングにパスした。


< 314 / 743 >

この作品をシェア

pagetop