Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「あっ!ノックオンだ!ノックオン!」
芳野高校側の応援客から声が上がる。すぐさま、その場でスクラムが組まれることになる。
フォワード陣が集まってレフリーの指示により順に肩を組んでいく間、バックス陣は、オフサイドラインに沿って配置に着く。
スクラムにボールが入れられる前の一瞬、スクラムから少し離れた場所に立つ遼太郎が、みのりにチラリと視線をよこした。
一瞬なのにパチッと目が合ったということは、みのりがずっと遼太郎を目で追っていたということだった。
目が合ったその時、遼太郎はマウスガードを見せて、ニヤリと笑った。
――ノックオンを〝ノーコン〟と間違えてたことを思いだしたんだ……!
あの時、遼太郎に大笑いされたことを思い出して、みのりに恥ずかしさが込み上げてきた。
だが、すぐに遼太郎はみのりから視線を移し……、その瞬間、遼太郎は戦う男の顔つきになった。
両チームのフォワードがぶつかり合い、低い唸り声が上がった。
スクラムを見つめる遼太郎の鋭い目つきに、みのりは視線も心も持って行かれる。
普段みのりに向けられる優しく朗らかで、たまにはにかむ表情とのあまりの違いに、思わず体が強張った。鳩尾に違和感を感じ、両手を握ってそこを押え、息をするのも忘れた。