Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 ところが、みのりの視線はずっと遼太郎を追っていて、周りから歓声が上がって初めてトライに気が付いた。皆より少し遅れて拍手を送る。


 今までのみのりならば、「二俣くん、すごい!」で終わっていたところだけれど、ラグビーのことをちょっと知っただけで、それぞれのポジションの選手たちが自分の役割をしっかり果たしたからこそのトライだと、今では分かる。

 特に、遼太郎の役割はチームにとって重要なものだ。
 みのりには自信のないようなことを言っていたのに、みのりの助言が効いているのか、そんな迷いは感じられない。仲間を上手に活かして、ゲームを有利にけん引している。


―― 一人はみんなのために、みんなは一人のために…って、よくラグビーを表している言葉だなぁ…


と、今更ながらにみのりは感心した。

 遼太郎もきっとラグビーのこういうところが好きになり、夢中になったのだと思った。

 遼太郎が好きなものは、何でも知りたいし、好きになって共有したい……。

 みのりは無意識のうちに、そう思うようになっていた。


 その後、不意を突かれて、相手チームに一つトライを許してしまい、その後のコンバージョンゴールも決められ、7点ほど失点したが、芳野高校はとりあえず初戦突破を果たした。


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