Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
勝ったにも関わらず、みのりの心には何か落ち着かないものが残っていた。嬉しいはずなのに、心がざわめいて素直に喜べなかった。
遼太郎の一挙手一投足が気になって、正直ゲームを楽しむどころではなく、一喜一憂するのに疲れてしまっていた。
いや、詳しくルールが解って初めての試合だったので、ゲームの前半は楽しんでいた。落ち着かなくなったのは、ノックオン後のスクラムを見つめる遼太郎の表情を見てからだ。
みのりのまぶたの裏にはあの顔がちらついて、気がつくと何度もあのスクラムの光景を思い浮かべていた。
しばらく待てば次の試合が始まるらしいので、このあと特に用事もないみのりは、そちらも観戦して帰ることにした。ラグビー部も、こちらは研究のために、次の試合を観戦する。
初戦を無事に勝つことが出来たラグビー部員たちは、少しホッとした感じと、まだまだこれからだという緊張感の漂う感じだったが、一様にいい表情をしていた。
少し離れたところから、みのりは遼太郎の様子を窺った。泥だらけのユニフォームからTシャツに着替えた遼太郎は、朗らかだけれども物静かな感じの、いつもの遼太郎に戻っていた。
遼太郎のその顔を見て、みのりの心は少し落ち着きを取り戻したが、ざわめきを完全には払拭できなかった。