Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
目の前で行われたラインアウトでは、衛藤が投げ入れて、一番背の高い二俣がリフトされ、見事ボールをキャッチした。……その迫力に、みのりは息を呑む。
ボールは素早く遼太郎へと出され、相手側に攻め込まれていたため、タッチキックを選択する。
ボールはタッチラインの内側でワンバウンドし、ラインを割った。その正確なキックに、観客から拍手が起こった。
芳野側は大きく陣地を回復し、ラインを割ったところから再びラインアウトとなる。
遼太郎の蹴った大きくきれいな弧を描くボールの軌跡に、みのりの心は吸いとられる。ゲームメイクをする役割を担うから……ということもあるだろうが、みのりは遼太郎から目を離せなかった。
遼太郎は〝戦う男〟の顔を、幾度となく見せた。それは前回同様、みのりを落ち着かなくさせたが、それを見ずにはいられなかった。
次第に、みのりはそれが決して嫌ではないことに気づく。むしろ、いつもの優しく物静かな遼太郎とのギャップに衝撃を受け、そこに惹かれていることにも。
あの顔を見る毎に、全身に震えが走り心の全てを持っていかれることは解っていても、もう一度見たいと思う気持ちは抑えがたかった。