Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
そのひょうきんさに、みのりは今までの緊張を忘れて、口を押えて吹き出した。
同じく二俣の母親も遼太郎の母親も、笑いを漏らしていた。
「私がラグビーを観戦するときのために…」
と、みのりが隣にいる遼太郎の母へと口を開く。
遼太郎の母も、返事の代わりに視線を向けた。
「狩野くんがかなり詳しくラグビーのルールや見どころを教えてくれたんですけど、彼は本当にラグビーのことが好きなんですね。スタンドオフは、技術もさることながら戦略を立てるからセンスもないといけないし、仲間に信用されてないといけないから、大事なポジションだと聞きます。試合を観ていると、江口先生が狩野くんをそのポジションにした理由が、よく解ります。」
みのりが語るのを聞いていた遼太郎の母は、フフフ…と笑って眉を動かした。
「先生、褒めすぎですよ。家での遼太郎は、やっぱり私にお小言ばかり言われてます。お姉ちゃんがいるときは、お姉ちゃんからも。」
自分の経験もなぞらえて、何となくその光景が想像できたみのりは、幸せそうな笑顔を見せた。
学校では控えめでどちらかというと大人びた感じの遼太郎も、小さいときはやはりやんちゃで、そんな遼太郎を母親も姉も、今でもかわいいと思っているのだろう。