Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 こうやって相手側を一人でも減らし、「人数を余らせた方が有利」と、遼太郎が言っていたことをみのりは思い出していた。「余らせて(ボールを)外に出す」とも言っていた。

 もう少しでトライかと思いきや、待ち構えていた相手側のフルバックに阻まれて、ラックになった。ラックの側で、鋭くその密集を見つめる遼太郎……。

 後半が始まって、たったこれだけのプレーで、みのりの手のひらにはじっとりと汗がにじんでいた。


 負けたらそれで終わりということは、相手チームにも言えることで、後半になって相手チームの気迫にはすごいものがあった。かろうじてトライは回避できているものの、芳野側の陣地が狭い状態でのプレーが多くなっている。
 ボールの支配率も後半は、相手側の方が高いようだ。


――もう一本、トライを取れれば楽になるんだけど……。


 そろそろ後半も15分に近づきつつある頃、少し離れたところで組まれているスクラムを見つめながら、祈るようにみのりはそう思った。



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