Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「口の中の血を吐き出して。」
バケツを下に置くと、遼太郎は言われた通りに、ペッと真っ赤な唾を吐き出した。
「どう?口の中に異常はある?それとも、鼻から落ちてきた血かな?舌で触ってみて。」
「いや、なんともありません…。」
やっと遼太郎は、言葉らしい言葉を発することができた。
「じゃ、良かった。鼻血だけね。…水分補給用のスクイズボトルを1つ持ってきてもらえる?」
鼻をタオルで押さえていたマネージャーに指示し、みのりは代わりにタオルで押さえ直す。空いている手を遼太郎の後頭部に当てて、マネージャーよりもグッと力を込めて、小鼻の上を圧迫した。
すぐにマネージャーはボトルを持って、走ってきた。
「それで、口の中を洗ってあげて。」
そう言われて、マネージャーは戸惑った。
「え…、どうやって?」
「こっち替わって。」
再びみのりはマネージャーと交替し、ボトルを受けとると、下を向く遼太郎の隣に膝をついて、ボトルの先端を遼太郎の口に差し入れた。
「飲んじゃダメよ。口を濯いで吐き出してね。」
と言って、柔らかいボトルの腹を押した。