Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
先端から噴水のように水分が出て、遼太郎の口の中へ注がれた。水と血が混ざったものを、バケツに吐き出す。それを数回繰り返すと、血が混ざらなくなった。
「タオルを水に濡らして来てくれる?」
みのりはマネージャーに言うと、再びタオルを手に取った。
周りに誰もいなくなると、
「すごいタックルだった。でも、ちょっと…どころか、ずいぶん痛かったね…。」
と、みのりはいつもと同じように優しい言葉をかけた。
「……痛いのなんか……。タックルに行くときは、死んでもいいと思ってしてるんで……。そうでなきゃ、大きい奴は止められません。」
遼太郎のこの覚悟に、少しみのりは言葉を逸した。 そして、遼太郎の言葉を胸にしまって、ただひとつ頷いた。
「そうだよね。怖くないように、痛くないようにしようと思えば、そう出来るかもしれないけど。そんな恐怖心に克って突っ込んでいくんだからね……。」
みのりはいつも、遼太郎の心を読んで、それに呼応してくれる。
そんなみのりの優しさを感じると、いつもの遼太郎は嬉しさであふれてしまうのだが、この時は戦線を離脱している焦りの方が勝っていた。