Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



――絶対に負けたりしない……!


 さっき、みのりの言った言葉を、遼太郎は心の中で繰り返した。


 スクラムが組まれ、押し合う中で衛藤の気迫でボールをかき、二俣の後方へとボールが出された。スクラムハーフがすぐに拾い上げ、遼太郎へとパスを出す。


 遼太郎から12番へパス、12番と13番がクロスする際に手渡しするように短いパス、13番と遼太郎が再びクロスし、その時にまた短いパス。
 何度も練習を重ねられたそれは、ディフェンスの間をすり抜け、ボールを大きく前進させた。


 遼太郎は待ち構えていた相手のフルバックとの前で走るペースを変えて、フェイントをかけ引きつけておく。そこへ大きなストライドで追いついてきた二俣に、クロスでパスを出した。
 そこには、もう相手方のディフェンスはおらず、二俣が独走しトライを決めた。


 芳野の観客席から、安堵のような歓声が上がる。その後のゴールも決め、再び7点のリードとなった。その後、ノーサイドまでの数分を守りきり、芳野高校は3回戦を突破した。


 みのりは、もう戦う目の時の遼太郎を怖いとは思わなくなった――。


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