Rhapsody in Love 〜約束の場所〜

 

 やっとのことで競技場に着いたのだが、今度は駐車場が満車で入れない。
 雨だから観客も少なく、もしかしたら駐車できるのではないかと思っていた、みのりの予測は見事に外れた。駐車場ジプシーになってしまい、競技場の周りをうろうろしても、一向に駐車場は見つからない。


――ああ~……、試合が終わっちゃうよ~。


 みのりはハンドルを握りながら、泣き出したい気分になった。

 いっそのこと路上駐車でもしようか…、と思い始めた時、みのりは近くに高校があることを思い出した。この高校に勤務したことはないけど、背に腹は替えられない。


――同じ県立高校の職員だから、許してもらえるでしょう……。


と、勝手に決め込んで、その高校の職員駐車場に車を停め、傘をさして飛び出した。

 車だったらあっという間の距離なのに、歩くとなると結構ある。みのりは息を切らして、雨の中をひたすらに走った。


 競技場に着き、階段を駈け上がる。
 観客席に出ると、芳野高校の真っ青だった……であろうジャージの色が目に飛び込んできた。
 息を落ち着ける間もなく場所を移動し、状況を確認するため電光表示板を探す。



< 38 / 743 >

この作品をシェア

pagetop