Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
時間は後半戦が10分ほど経過したところ、得点は……21対17。
「負けてるじゃん!」
近くにいた数人が振り返ったので、みのりは自分が思わず大声を出してしまったことに気がついた。口を押さえながら、雨に濡れない屋根の下に腰を下ろす。
雨の中の試合なので、既にグラウンドはぬかるみ、田んぼのような状態になっている。そこを走り回り、タックルを繰り返すのだから、選手たちのジャージはもう泥まみれで泥水が滴り落ちている。
後半戦も中盤に差し掛かって、選手たちも一番しんどい時だ。
選手たち誰もが肩で大きく息をし、スクラムを組もうとする動作も緩慢になっている。
「もうあんまり時間がないぞ!!」
顧問の江口先生が叱咤する。負けているので、残り時間がとても気になる。
観客席からは遠いところでスクラムを組んでいるので、みのりは目を凝らした。
フォワードの選手が3人、肩を組んでいる。その真ん中の一人が、ずんぐりした衛藤だ。3人の後ろに4人、最後の1人が順番に肩を付けていき、低い唸り声とともにぶつかり合った。
青のジャージの選手がラグビーボールを手に持ち、スクラムの中に投げ入れる。