Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 遼太郎は練習に戻っても、グラウンドの端を歩いて、職員室へと戻ろうとするみのりが気になってしょうがなかった。

 サインプレーを確認しながらの、アタックとディフェンスの練習を始めると、みのりは足を止めてそれをしばらく眺めていた。

 それを視線の端に留めながら、遼太郎はサインを指示しパスを出し走る。1・2年生にディフェンス役をさせて、本番さながらのタックルを食らう。何度かそれを繰り返した時、再びみのりが歩き始めた。

…と思ったら、みのりが積み重ねられたコンタクトバッグにつまずいて、ひっくり返った。
 練習を見ることに気を取られていて、コンタクトバッグに気が付かなかったらしい。


 遼太郎のところへ回ってきたパスは、すっぽ抜けてしまった。


「…悪い、宇津木。ちょっと代わりやっといて。」


と言った時には、すでに遼太郎は違う場所へ走り出していた。


 宇津木は、遼太郎が引退した後、スタンドオフを任されると目されている2年生だ。
 前回の試合で、遼太郎が出血退場した時同様、突然3年生に指示を出す役が回ってきて、宇津木はおっかなびっくりだ。


 遼太郎がみのりの許へ走っていくと、みのりはまだコンタクトバッグの間に、うつぶせで倒れていた。



< 394 / 743 >

この作品をシェア

pagetop