Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「そうね、明日からまた、頑張ろうね。…あれ?狩野くん?」
みのりが立ち止まると、遼太郎もペダルをこぐのをやめて、みのりを振り返った。
「田島町って、こっちの道じゃないの?」
そう指摘されると、遼太郎は唇を噛んで目をクルリとさせた。
「ちょっと、学校に忘れ物したのを思い出したんで…。」
「忘れ物って、もう教室には入れないでしょ?」
「あの…、部室に…です。」
遼太郎がとっさに思い付いた嘘に、ふうん…というふうにみのりは頷き、再び歩きはじめる。
――こんな暗い夜道を、先生一人で歩かせるわけにはいかない。
あと学校まで300mもないが、遼太郎はそう思っていた。
それに、こんなふうに二人で並んで歩けるのならば、学校がもっと遠ければいいのに…とも思った。
でも、今日はきっとみのりは疲れているはずだ。早く帰って、とにかく心と体を休めてほしかった。
並んで歩く二人の間に、ふと沈黙がよぎる。
その沈黙の中でふと、みのりは先ほどの自分の行動を思い返した。
――あんなに泣いてしまうなんて、狩野くんはどう思ったんだろう……。