Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
そして、脱いだものを洗濯機に入れる時に、遼太郎のタオルを持って帰っていることに気が付いて、一緒に洗濯をしようと取りに行く。
それを手にしたとき、頬を拭ってくれている遼太郎の姿が頭の中に再生された。
その再生された絵を再現するように、思わずみのりがタオルに顔をうずめると、ラグビーをするときの遼太郎の匂いがした。
「……狩野くん……。」
口を衝いて絞り出すように、みのりは遼太郎を呼んだ。
しかし、そんな自分を客観して、弾かれたようにタオルを顔から離した。そして、想いを振り切るようにタオルを洗濯機へと放り込んで、スタートのスイッチを押した。
洗濯をしてしまえば、もうタオルからは遼太郎の匂いはしなくなる。
みのりも心もこのタオルのように、明日遼太郎に会うまでに、きれいに洗い流して真っ白にしていなければならなかった。
みのりからのメールを受け取った遼太郎は、嬉しいような恥ずかしいような、もどかしい気持ちになった。
嘘をついていたのをバレていたことは、恥ずかしいけれども、みのりがそれに気づいて「ありがとう」と言ってくれたことには、浮き立つような喜びを感じた。