Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 そう言われて、遼太郎も首を振る。


「いや、すいません。俺も余計なこと訊いて…。」


 恐縮した遼太郎に、みのりはニコリと笑顔を見せた。


「ううん、心配してくれて、ありがとう。」


と言いながら、再び面接の返答に目を移した。



 遼太郎が考えてきた返答の内容は、資料の成果もあって、現実的で随分良い内容になっていた。

 遼太郎が書いてある内容を受けて、みのりがそれを膨らませる。
 こういうふうにも言える、ああいうふうにも考えられると、付け足したり削ったりしていくと、随分内容の濃いものになっていった。


 以前みのりは、進路指導は詳しくない…と言っていたはずだが、それはかなり謙遜していると、遼太郎は思った。


 この日全部に目を通すことは出来なかったのだが、みのりの添削が終わったものをもう一度まとめなおして、面接で答えられるように練習しなければならない。


「お芝居のセリフのように覚えてたら、一つ飛んじゃうと全部出てこなくなるよ。これとこれとこれを言う…というふうに、要点を押さえて覚えておくことが大事だから。あとは、あいまいなことは言わずに快活に、語尾までしっかりとした口調で、失礼な言い方にならないように、気を付ければバッチリよ!多分、その辺は狩野くんだったら大丈夫だと思うけど…。ね?」



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