Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 教室へ入ってきたみのりは、いつも通りの様子で、遼太郎の方を意識することもなく、前方に座っている生徒と二言三言談笑をしてから、授業を始める。


 真剣な表情で説明をし、板書をし、時には面白いことを言って生徒を楽しませ、自分も心から笑うみのりを、以前の遼太郎は尊敬の念で見つめていたが、今は愛しい思いの方が強い。

 みのりは仕事もでき、確固たる自分の意見を持っている自立した強い女性だ。その反面、自分が側にいて守ってあげなければならない…遼太郎がそう思ってしまうような、そんな儚さをみのりは併せ持っている。


 授業をする心地よいみのりの声が遼太郎の心を洗い、みのりの可憐な姿に遼太郎が見とれていると、いつもあっという間に授業は終わってしまう。


 授業が終わって礼をした後、おもむろに二俣が教壇へと歩み寄って、声をかける。


「みのりちゃん、明日はなんも予定ない?決勝戦、応援に来てくれる?」


「もちろん行くに決まってるじゃないの!約束したでしょ?」


と、みのりは明るい笑顔を見せた。


「明日は、私だけじゃないわ。他の先生たちもたくさん応援に行ってくれるよ!」


「ええっ!?マジで?」



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