Rhapsody in Love 〜約束の場所〜


 そんなみのりの微妙な変化に、澄子は目を止めた。決勝戦が終わった直後のみのりの様子も、ずっと気にかかっていた。だけど、なかなかそのことについて聞き出せないままだった。


「ね、そうだ!みのりさん。今度クリスマスパーティしようよ。他にも何人か誘って。女同士で。」


 女同士でじっくり話せる機会があれば、何かしらみのりの懊悩の原因を探せるのではないかと、澄子は思った。


「…ク、クリスマスパーティ?」


 お寺の娘であるという性(さが)は、やはり捨てきれない。クリスマスという響きに、少し反応してしまうみのりだった。


「…あ、クリスマスってやっぱダメ?問題ある?」

 みのりがお寺の娘であることを知っている澄子は、気を遣った。


「ううん、別にお祈りするわけじゃないし、大丈夫。やろうクリスマスパーティ!女同士じゃなくって、誘えばいいじゃん。久我先生。」


 気を取り直すように、みのりは明るい声で言った。


「く、久我先生…!?」


 途端に澄子の顔が赤くなる。澄子が久我のことを打ち明けてから随分時が経つが、まだ澄子は久我のことが好きらしい。

 だけど、一向に進展もないらしい。
 恋愛経験ゼロの女性とバツイチで不眠症の男性では、無理もないかもしれないけれど…。


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