Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
みのりが目を剥いて、唇に人差し指を当てる。それに反応した遼太郎が、二俣の背後から腕を回して彼の口を押えた。
「次は、狩野くんの採点するよ?」
遼太郎が頷くと、みのりは早速再び同じ作業を繰り返す。今度は、丸をする音が途切れない。8割方採点が終わった段階で、3人は無言でみのりの動きを覗き込んだ。
――もしかして、また満点…!?
そう思いながら、みのりも慎重に採点を進めた。そして、とうとう最後まで斜線が引かれることはなかった。間違いが一つもなかったので、計算機を使うまでもない。
点数欄に「100」と書き入れると、驚嘆の表情でみのりは遼太郎を見上げた。
「おおお――――っ!!遼ちゃん、すげぇーー!100点だぜ!!」
再び二俣の大声が響き渡り、大慌てて遼太郎が二俣の口を塞いだ。二俣の驚きの割に、遼太郎は冷静なものだ。
「あれだけ勉強したんだから、当然だ。」
衛藤と二俣に100点を取らせるつもりで勉強させた。その過程で、当然遼太郎の頭の中にも知識は定着される。もともと実力のある遼太郎のことだから、当然と言えば当然のことだった。
「さて、最後は衛藤くんだけど、採点していい?」
3人は息を呑んで頷いた。遼太郎は焼肉についてはどうでもよかったが、自分が教えた衛藤が結果を出せるかどうか、やはり気になって緊張した。