Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



『やっぱ、それは、ラブホでしょ!』

『やらしー!これも個別指導?!』


 無責任で下世話な書き込みに、遼太郎の頭には血が上り、怒りが体中に充満した。

 ただ肩を抱いているのを見られただけなのに、まるで体の関係があるかのような書かれ方をされていることが腹が立つ。


 もちろん、そんな関係になりたくないわけではない。あの時だって、みのりを抱きたくて仕方がなかった。だけどそれは、単に欲情にかられていたからでははなく、みのりの全てを愛したいと思うからにほかならない。

 あの美しく大切な記憶を、こんな卑猥な書き込みに汚されたくない。何よりも、あんなに可憐なみのりに対して、こんな淫乱な想像を巡らせるなんて殺してやりたいくらいだ。


 ただ、こんなふうに書かれて自分が侮辱されることは耐えられるが、このことがみのりに知られて、みのりが傷つくことが怖かった。

 この中傷をみのりが目にすると、きっと心を痛めるだろう。そして、遼太郎を巻き込んだと、自分を責めて悲しむだろう。
 そうなってしまうことを想像して、遼太郎は身の置きどころもないような苦しみに悶絶した。


『男の子は家に連れてこないようにしている』

 そう言っていたみのりは、普段からこんな事態になることに対して気を付けていたに違いない。


< 584 / 743 >

この作品をシェア

pagetop