Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 みのりがあのことを知ったなら、自責して苦しむだろう。みのりが苦しむことを想像しただけで、遼太郎の胸は詰まった。

 きっと、さっき見たような笑顔も消えてしまう。接触することを避けるようになるだろうから、あんなふうに遼太郎に笑顔を向けてくれることもなくなってしまうだろう。



 みのりが3年1組の授業に来た時には、二俣や宇佐美たちが箝口令(かんこうれい)を布いてくれていたので、何の違和感もなくいつもの通りに授業が行われた。

 ただ違っていたのは、遼太郎だけだ。

 もしかしたら、裏サイトに書き込みをした人物は、この教室の中にいるのかもしれない……。
 みのりを見つめることのできる幸せな時間だった授業中でさえ、これからの遼太郎にとっては、我慢を強いられる辛苦の時間となった。


「さて、先週予告していたけど、これから仮卒までの間は、卒業レポートを書いてもらいます。これを出してもらわないと、単位が出せないから、必然的に卒業も出来なくなるからね。みんな、だいたいテーマは考えてきましたか?」


 そう言いながら、みのりはプリントを配布する。プリントには、テーマの決め方をはじめとするレポートの書き方が、細かく指南されていた。


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