Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 昼前になって、本堂から居間の方へと戻ってきたみのりは、コタツに入って年賀状の仕分けをしている弟の隆行の姿を見つけた。


「おう、姉ちゃん。明けましておめでとう。」


 皆が忙しくしているというのに、一人のうのうとしているこの弟のグータラぶり。みのりはピクリと神経が逆立つのを感じた。

 けれども、新年早々ケンカはしたくないので、ここは自分が大人の対応をしてあげることにした。


「明けましておめでとう。久しぶりね。元気だった?」


 みのりが冷えた足をコタツに入れて、自分への年賀状に目を通し始めると、隆行も生返事をする。


「うん、まぁまぁね~。姉ちゃんも元気~?」


 この締まりない受け答えが、いっそうみのりの癪にさわる。


「うん、まあ、元気よ…。」


 夏には出会わなかったので、1年ぶりの姉弟の会話は、当然ながら弾まなかった。二人とも年賀状から目を離さず、沈黙が過ぎていく。


「…そう言えば、そこにたくさん来てるよ。」


と、仕分けをしながら、隆行が口を開く。


「あれ?まだ他にもあるの?年賀状。」

「いんや、年賀状じゃなくって、お見合い写真。」


 隆行は目を上げて、居間の隅に積まれていた台紙の山を指差した。それを見て、みのりはちょっとギョッとする。


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