Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「だいたい、今日はお檀家さんまで来てもらって手伝ってもらうほど忙しい日なのに、一人でこんなところでのんびりと…。ちょっとは手伝ったらどうなのよ。」
みのりも隆行も、手にある年賀状を見ているふりをしているが、実際は目になんか入っていなかった。
「俺、一応坊さんの資格はあるけど、まだ修行に行ってないから、父さんみたいにご祈祷はできないし…。」
隆行は口を尖がらした。
何かごとに理由をつけて寺を継ぐのを先送りしている隆行が、僧侶になりたがっていないのは、みのりも両親も重々承知している。
けれども、このお寺に育ててもらったからには、後を継ぐ義務がある。隆行もそれは分かっているのだが、なぜみのりはその義務を免れて自分だけが…という思いがあるのも確かだ。
そういう隆行の思いは理解できなくもないが、苦労を嫌って楽に生きようとするこの弟の態度が、みのりは気に入らなかった。
「ご祈祷ができなくても、他にもいろいろやることはあるの。それに、お盆の時はどう?お経くらいあんただって読めるんだから、帰ってきてお父さんを手伝いなさいよ。」
「お経くらいって言うなよ!!罰当たり!!」
お互い語調が激しくなり、とうとう姉弟ゲンカが始まってしまった。新年早々だというのに、この姉弟は相変わらずだった。