Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
けれども、みのりはその一言に、表情を曇らせた。このくらいのことで諦めてほしくなかった。特に、遼太郎には。
「ううん、この前のネットでの資料もあるし。専門的な本を探せば、何かしら資料は見つかると思うよ。今度の休みに、県立図書館へ行って探してきてあげるから。せっかく環境に関することを勉強できるチャンスなんだから、テーマは変えないでほしいな。」
みのりは何としても、遼太郎にこのテーマでレポートを書かせてあげたかった。そのためには、どんな手助けでもしようと思っていた。
それが、教師として遼太郎へしてあげられる、みのりの最後の指導だ。
「…そうだ、先生の持ってるあの本…。」
専門的な本…と聞いて、遼太郎の脳裏に一冊の本が過った。
「『環境の日本史』っていう本、貸してくれませんか?」
「環境の日本史…?私が持ってる…?」
「…あ、あの、先生の家の本棚にある本です。」
遼太郎はみのりのアパートに行った時のことを思い出したのか、少し顔を赤らめて、言葉を詰まらせた。
「ああ!あれ。狩野くん、読んでみたの?内容が難しくなかった?」」
みのりが目を丸くすると、遼太郎は肩をすくめた。