Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
――多分、狩野くんに会えないせいだ…。
帰り着くなりベッドに倒れこんだみのりは、仰向けになって天井を見上げ、ぼんやりとそう思った。
どんなに疲れていても、次の日の朝個別指導で遼太郎の顔を見たら、力が湧いてきていた。どんなに落ち込んでいても、授業で一目遼太郎の姿を確認できるだけで、心がリセットできていた。
自分にとって、どれだけ遼太郎が大切な人なのか、今更ながらに思い知らされる。
遼太郎に「会いたい、会いたい!」と、みのりの心はひたすら悲鳴を上げていた。
仕事中は鈍化しているその痛みも、一人になると鋭くみのりの心を突き上げ、その痛みに耐えかねて、みのりはいつも一人で涙を流した。
けれども、あの仮卒の日、遼太郎はみのりを抱き締めに来てはくれなかった。
二俣や白濱や遠藤、あの衛藤までもが、別れに際して感謝の気持ちを表すために、みのりを抱き締めてくれたのに…。
生徒としての遼太郎に対しても、他の生徒に比べて特別な絆のようなものを感じていたのに、それは自分だけの思い込みだったのだろうか…。
案外、遼太郎はドライなのかもしれない。
そういえば以前、女の子のことに対しても、素っ気ない受け答えをしていたような気がする。
このまま、他の生徒と同じように、少しの感慨だけを伴って、遼太郎は卒業していってしまうのだろう。