Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 全員が課題を作り終わって教室に入ると、号令をかけさせて授業を始めた。


「さて、ちょっと早いけど夏休みの課題を配りました。去年までのことは聞いてないけど、多いなぁと感じてるとは思う。でも、私立文系では日本史は主要3教科の一つだから、このくらいはやってもらいます。」


 みのりがこう言っても、生徒たちの方からは無言の険悪なオーラが漂ってくる。


「二俣くんみたいに、まだまだ部活が大変な子もいると思うけど、大半の人が部活も引退して、晴れて自由の身になったんだから、これから本腰入れて勉強しなきゃ。ねっ、平井くん?」


 名前を出された二俣と平井はドキッとしたのか、目を丸くしてみのりと目を合わせた。


「推薦入試で進路を決めようとしている人は、日本史だって必要ないと思っているかもしれないけど、この課題の評価も推薦入試の内申点に加味されるということを忘れないで。何事にも真剣に取り組めない人には、ハッピーエンドはあり得ないのよ!」


 みのりの熱のこもった弁舌に、生徒たちは少々気圧され気味に沈黙を保っている。


「あなたたちのために私ができることは、卒業するまでに知識とそれを生かせる力を身につけさせてあげることなの。そのためには私だって頑張りたいんだから!」


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