Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「すみません、古庄先生。仲松先生は、どこにいますか?」
授業中、いるはずのない生徒に声をかけられて、古庄は少し驚いたように振り向いた。
「…おっ、お前!今、考査前で入室禁止だぞ!」
いきなりそう言われて、遼太郎は戸惑った。
「って、ああ!3年生か。ラグビー部だよな!俺も高校の時ラガーマンだったんだぜ!」
古庄は、遼太郎が思っていたよりも気さくな人間だったみたいだ。
古庄とラグビーの話をしたいのはやまやまだったが、遼太郎はそんなことに気を回せる心理状態ではなかった。
これからみのりに告白しようと、緊張で心が張りつめていた。
「あの、仲松先生は…?」
かろうじて遼太郎は、そう訊きなおす。
「ああ、仲松ねえさん…じゃない、先生は、入試業務があるとかで、さっき校長室に行ったよ。ちょっと時間がかかるんじゃないか?」
「入試業務…?」
「高校入試の願書が届いたから、って言ってたけど、何をしてるのかは俺も知らないんだ。」
と、古庄は肩をすくめる。そして、遼太郎の方は、がっくりと肩を落とした。
「何か用があったんなら、伝言でもしとこうか?」
「いえ、いいです…。」
来たことだけは伝えてもらえばよかったのだが、遼太郎は動転していて、そこまで気が回らなかった。
すごすごと職員室を退出し、放課後また出直すことにした。