Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 それを何としても食い止めようとしているみのりの気迫が、空気を通して伝わってくるようだ。荘野もそれに応えようと、懸命な顔をして指導を受けている。


 それを見て、遼太郎は声をかけるのをやめた。自分がしようとしている話は、仕事を中断して、ましてや真剣な指導の途中で、ちょっと聞いてもらうような話ではない。

 そして、みのりが仕事で疲れている時に、重い話をしてこれ以上負担をかけたくない。
 何よりも、みのりに真剣に聴いてもらい考えてもらうためには、みのりの心に余裕のある時ではないといけないと思った。


 遼太郎はやっと会えたみのりの姿を、網膜に焼き付けるようにしばらく見つめ、それから背を向けて生徒昇降口へと向かった。



 それからの遼太郎は、自動車学校で早く免許が取れるために邁進した。
 もともと運動神経がいいので、取りこぼすことなくどんどん段階も進めたし、学科ももちろん問題なかった。

 今は、免許を取って、みのりと一緒にドライブするのが、遼太郎の夢であり目標だった。


 みのりに告白するのも、卒業式の日には必ずしようと思っていた。
 あの日なら授業もなく、みのりも少しは余裕があるはずだ。


 そう決意して肝が据わった遼太郎は、もう溜息を吐かなくなった。


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